足利市の工務店、福富住宅の「ママ建築士」春山です。
多くの方が、家を建てるときに「おしゃれさ」や「間取り」ばかりに目が向きがちですが、
実は“見えない性能”——とくに断熱・気密性能が、暮らしの快適さ・健康・光熱費、そして地球環境にまで大きく影響していることを、まだ知らない方がたくさんいます。
このブログでは、
✔ なぜ環境にやさしい家づくりが必要なのか
✔ 住宅性能がCO₂や気候変動とどう関係しているのか
✔ 性能にこだわることで、家族にも地球にも“やさしい暮らし”が実現できること
を、家づくり初心者でもわかりやすく伝えることを目的としています。
「もっと早く知っていればよかった」という声をこれ以上聞かないために。
このブログが、後悔のない家づくりの第一歩となれば幸いです。
前回の記事はこちら
環境にやさしい家づくり完全ガイド その①|高断熱住宅で光熱費を大幅削減
3. 住宅が排出するCO₂、その実態とは
└ 暮らすだけでCO₂が出る?断熱性能と光熱費のリアルな関係
4. 環境にやさしい家づくり5つのポイント
└ 高断熱・高気密・パッシブ設計…後悔しないためのチェックリスト
3. 住宅が排出するCO₂、その実態とは
―「たった一軒の家」から出る見えない負荷、その量としくみ
「家庭のCO₂排出」と聞くと、遠い話のように感じるかもしれません。
しかし実は、私たちが毎日過ごしている“家”こそが、知らず知らずのうちにCO₂を排出していることをご存じでしょうか?
その量は、決して小さなものではありません。
家庭部門は、日本全体の約15%のCO₂を排出
環境省の最新データによると、日本全体の温室効果ガス排出量のうち、家庭部門の割合は約15%(2021年度)。
このうち大きな割合を占めているのが、冷暖房・給湯・家電など、日常生活に不可欠な住宅内でのエネルギー消費です。
とくに冷暖房は、建物の断熱性能が低いほどエネルギー負荷が大きくなるため、家の性能によって排出量が大きく変わります。
【比較】性能の違いでCO₂排出量はこう変わる
では、住宅の断熱性能によって、実際にどれくらいCO₂排出量が変わるのか。
下記は、延べ床面積30坪(約100㎡)、4人家族、6地域(栃木・群馬等)の標準的な住宅を想定した試算です。
延べ床面積:約100㎡(約30坪)
家族構成:夫婦+子ども2人の4人家族
地域:6地域(栃木県・群馬県など)
冷暖房方式:一般的な壁掛けエアコン
エアコン使用期間:6-9月(冷房) 11-3月(暖房) /1日平均8時間
電力CO₂排出係数:0.37kg-CO₂/kWh(環境省令和4年度)
■ 年間で約1.2トンのCO₂削減が可能
これは自家用車の年間走行のCO₂発生量とほぼ同等の差になります。
「暮らすだけでCO₂を減らせる家」があるという事実
この差は、努力や工夫の結果ではありません。
家そのものが、冷暖房エネルギーを抑える高断熱・高気密設計になっているかどうか。
それだけで、年間1トン以上のCO₂排出を“住まい”が肩代わりしてくれるのです。
そしてこの違いは、光熱費・室温の快適さ・健康への影響にもつながります。
【比較表】一般的な家 vs. UA値0.34の高性能住宅
|家づくりの選択が、CO₂排出の未来を左右する
住宅の性能差によって生まれるCO₂排出の違いは、
単なる「データの違い」ではなく、家族と地球の未来に直結する環境負荷の差です。
高性能な住宅にすることで、
・地球温暖化の抑制に貢献できる
・家計にもやさしくなる
・家族が健康に暮らせる
そんな「3つのやさしさ」を実現する家づくりが、いま求められています。
【3章を要約|数字でわかる!“性能の違い”がCO₂に与える影響】
✔ 一般住宅と高性能住宅では、CO₂排出量に年間1トン以上の差。
✔ 「暮らすだけで減らせる」仕組みは、断熱性能で決まる。
✔ 性能は家計・健康・環境のすべてに影響する。
こうして見てみると、「住宅性能がCO₂排出に与える影響」は驚くほど大きいことがわかります。
ですが、では実際にどんな家を選べばいいのでしょうか?
次の章では、「環境にやさしい家づくり」を実現するために欠かせない5つの具体的なポイントをご紹介します。
「性能は気になるけど、難しいことは苦手」という方でも、チェックするだけで判断しやすくなる内容です。
「後悔しない家にしたい」なら、まずこの5つだけは押さえておきましょう。
4. 環境にやさしい家づくり5つのポイント
―「後悔しない家」の条件は、目に見えない性能にあった
これまで見てきたように、「家づくり」は気候変動対策そのものとも言えます。
しかし、見た目や設備だけで「環境にやさしい家」はつくれません。
本当に大切なのは、毎日の暮らしで“自然と”エネルギーが抑えられる工夫が、家そのものに組み込まれているかどうか。
ここでは、福富住宅が考える「環境にやさしい家づくりの5つのポイント」をご紹介します。
① 高断熱・高気密で冷暖房エネルギーを最小限に
家づくりにおいて最も重要なのが「断熱」と「気密」です。
いくら省エネ家電を導入しても、熱が逃げやすい家では空調効率が大きく下がります。
福富住宅では、UA値0.34(ZEH基準0.60よりはるかに上)を標準とし、さらにC値(隙間相当面積)も0.4以下の高気密を追求しています。
■ 夏は熱気を遮り、冬は暖かさを逃さない
■ 家じゅうの温度差が少なく、ヒートショックのリスクも減少
■ エアコンの稼働が最小限になり、CO₂も光熱費も抑えられる
この“見えない性能”こそが、環境と家計の両方にやさしい家の大前提です。
断熱について解説しています!
こちらもご一読ください。
「住まいの性能 用語解説 ~断熱&断熱性~」
② パッシブ設計で自然の力を活かす
環境性能をさらに高めるには、「機械に頼らず自然の力で快適に暮らす工夫」が欠かせません。
これが、パッシブ設計です。
具体的には
・南側に大きな窓を配置して、冬は太陽光で室温を上げる
・軒や庇、アウターシェードを活用し、夏は直射日光をカット
・高窓や通風経路をつくり、風が自然に通るように設計
・落葉樹を植えて、夏は陽射しを遮り、冬は陽射しを採り込む
■ 冷暖房に頼りすぎない、エネルギー負荷の少ない暮らしへ
■ 自然を感じる、五感にやさしい室内環境を実現
福富住宅では、地域の気候特性をふまえて、設計段階からパッシブ要素を組み込みます。
パッシブ設計についてご紹介しています!
こちらもご一読ください。
「パッシブデザイン設計についてご紹介します!」
③ 再生可能エネルギーを取り入れる
消費を抑える工夫に加えて、「エネルギーをつくる家」になることも、これからの時代には求められます。
代表的なのが太陽光発電+エコキュートの組み合わせです。
・太陽光で発電し、昼間の電力を自給
・余剰電力は蓄電して夜間に使用
・エコキュートは昼間の電力を活用して、効率よくお湯を沸かす
■ エネルギーの“自給自足”を実現
■ 電気代を大幅に削減でき、停電時の備えにも
福富住宅では、自家消費型の太陽光活用を重視し、ご提案を行っています。
太陽光についてもご紹介しています!
こちらもご一読ください。
「年間光熱費9万円も可能?断熱・気密・換気でつくる“本当に省エネな家”」
④ 長く快適に暮らせる家=サステナブルな選択
住宅は長く使い続けてこそ「環境負荷が少ない」と言えます。
そのためには、構造・素材・可変性に優れた“長寿命の家”であることが重要です。
たとえば
・長期優良住宅の認定取得
・将来のリフォームや間取り変更がしやすい設計
・劣化に強い構造材・断熱材の採用
・メンテナンスコストが少なく済む外装材
■ 「住み替え」「建て替え」といったライフサイクルCO₂の削減
■ 家の価値を長く保てる、資産性の高い住まいに
福富住宅の家は、構造・断熱・劣化対策・維持管理性など、国の厳しい基準をクリアし、長期優良住宅の基準を満たす仕様です。
長期優良住宅についてご紹介しています!
こちらもご一読ください。
「長期優良住宅のメリット&デメリット」
⑤ 家族が「環境を意識できる家」にする
最後に大切なのは、「家が学びの場になること」。
環境配慮は“正解を買う”ものではなく、“気づきが育つ”ものです。
・室温の変化から断熱性能のありがたさを体感
・カーテンや通風の調整で、暮らしのエコを体験
・太陽光の発電量を見て、エネルギーの仕組みに関心を持つ
■ 子どもが自然に「環境ってこういうことか」と考えられる
■ 家族の会話に「地球」「エコ」が自然と出てくる家になる
福富住宅では、こうした「暮らしながら学べる家」をスタンダードと考えています。
気候変動やSDGsなどで出てくる用語をかんたんに説明しています!
ぜひ、お子さまとご一緒にお読みください。
「子どもと学ぶ地球の未来|気候変動・SDGs用語をかんたんに説明します」
|この5つが、“失敗しない家”をつくる環境視点
これら5つのポイントを踏まえて建てられた家は、単に「エコ」なだけではありません。
・住んで快適
・お財布にやさしい
・地球にも貢献できる
・家族の未来を守れる
そんな「一生モノの価値」を備えた、本当の意味で“後悔しない家”なのです。
【4章を要約|これだけは押さえたい!エコな家づくり5つのコツ】
✔ 環境にやさしい家は、5つの視点で見極められる。
✔ 性能・設計・再エネ・長寿命・家族の意識がカギ。
✔ “選び方”ひとつで、未来を変える住まいになる。
性能・設計・素材など、住まいの工夫次第で「地球にやさしく、快適に暮らせる家」は実現できます。
しかし本当に大切なのは、それをどう暮らしの中に活かすかです。
「環境にやさしい家づくりガイド その③|高断熱住宅で光熱費を大幅削減」へつづきます。
「家そのものを学びの場にする」という視点から、家族、特に子どもと一緒にできる“環境への第一歩”をご紹介します。